ARIA The NATURAL 第11話「その 大切な輝きに…」

延長にもほどがあるな・・・。今クール、テレ東は骨であふれそう。

さて今回。なんと灯里にご指名が!同伴出勤とかもあるのでしょうか・・・とかくだらない事を考えてたのですが、ネオ・ヴェネツィアンガラスとベネツィアンガラスの比較を通して、ネオ・ヴェネツィアの存在そのものについて踏み込むというかなり深いテーマに。

ネオ・ヴェネツィアはオリジナルの紛い物に過ぎない」という命題に対して灯里の出した答えは「あなたが嘘物だといわれて傷つくのは、あなたの思いが本物だから」というもの。まあ確かに本物はそれぞれの心の中にあるよね、という一見ありふれた答えにみえますが、実はこの台詞は灯里というキャラクター、そしてAQUAという世界全体を象徴するすごい台詞なのです。

例えばこれが藍華だったら「ネオ・ヴェネツィアンガラスにもいいところはあるわよ」とか「あいつらは物の価値がわからないのよ」という台詞を言うのではないでしょうか。それはネオ・ヴェネツィアンガラスという物を肯定することであり、思いを否定するということ。ネオ・ヴェネツィアンガラスの価値を認めるのなら、普通はそうすると思います。俺だってそうする。

でも灯里のしたことは、物ではなく思いを肯定すること。アントンのネオ・ヴェネツィアンガラスへの思いを肯定しただけで、ネオ・ヴェネツィアンガラス自体の価値は肯定も否定もしていないんですよ*1。また、アントンの視点で書かれてるから分かりにくいけど、灯里の答えは実はネオ・ヴェネツィアンガラスを否定した人の思いすら肯定するものです。それは「わたしには、本物か偽者かなんて全然問題じゃないんです」という台詞からも読み取れると思いますが、AQUAに存在する全てのものを受け入れ愛する、灯里というキャラクターを象徴する答えだったのではないでしょうか。

ネオ・ヴェネツィアンガラスという日常のモチーフからネオ・ヴェネツィア全体へと対象を広げ、さらにAQUA全体へと広げる。そして人の思いが世界を作るという一貫したテーマ。この「小→大」「人→世界」へと帰納的に広がりを見せる今回の構成は、ARIAの物語全体を象徴しているかのようです。

あと注目したいのが、今回は灯里が非常に人間らしく描かれていたというところ。指名を受けて喜んだり*2緊張したりするのもそうだけど、アリシアさんに「灯里ちゃん、スマイル」と言われた後の「はい」は、いつもの記号的な「はひっ」にはない生身の灯里の感情が伝わってきてすごくよかったです。ちょっと惚れそうになった。

追記

ちなみに、もしかしたらこのエピソードを「灯里の成長」と捉える向きもあるかもですが、個人的は違和感ありますね。灯里は始めから完成されたキャラクターであり*3、1話にこのエピソードを持ってきても全く違和感がないと思うのです。

追記2

えっと、久々にまじめに感想書いてみました。超疲れた!

*1:きれい、とかは言っていますが、オリジナルとの比較という意味で

*2:彼女が自分のことで喜ぶというのは本当に珍しい。って前の話でも書きましたが

*3:メタ的に言えば「完成されていなくてはならない」