ラムネ 第12話「100個の貸しと100個の借り」

追記で書こうと思ったけど、日にちをまたがってしまったので改めて。

俺がエロゲー大好きなのは、事あるごとに言ってるのでこの日記を普段見ていただいている方にはご存知のことと思いますが*1、これほどエロゲーらしいアニメも珍しい。最初から最後まで、一貫した揺るぎない七海シナリオ。そしてそれが実を結ぶラストエピソード。大抵のエロゲー原作アニメは、女の子のカタログとしてまんべんなく紹介するっていうのが定番だけど*2、このアニメは「2次元の女の子と恋愛をする」という、エロゲー本来のカタルシス*3をアニメというメディアで見せてくれた貴重なアニメでした。

で、本編。健次の事故を知って泣き崩れる鈴夏とは対照的に、「困っちゃったね」と放心する七海。彼女の中では、まだ現実が受け入れられないでいるのでしょう。その後学校にも行かず毎日のようにお見舞いに行く七海がもう悲しすぎて・・・。

クリスマスのころ、とうとう健次の借りが100に。「ねえ健ちゃん!もう100なんだよ!命令なんだよ!!」と、初めて涙を流す七海の姿に「もうご都合主義でもなんでもいいから生き返ってくれ!!」と叫ばずにはいられませんでした。しかし現実はそう甘いわけではなく。変な話ですが、目を覚まして欲しいと思うと同時に、ここで覚ましたら興醒めだな、という微妙な葛藤があったり。

友達ができずにいた佐倉さんにも友達ができ、ひかりや美空もそれぞれの生活に戻り、七海は髪を切る。それぞれが少しずつ変わっていったかのように見えるけど、実際のところ七海は何も変わっていなかったわけで。逆にいえば、そんな一途な七海だからこそ気持ちが通じたのかもなーとも思うわけです。

「しょうがないよね、あれなんだから・・・」

語られる最後の思い出と、「なんてね」の生まれた瞬間。このころから両思いだったんじゃん!

「ウソだよ・・・」
「なんてね、なんて・・・ウソだよ」
「好きだよ。愛してる・・・っ」

今までも告白したも同然な状態ではあったんだけど、七海の口から初めて聞いた愛の告白。そして・・・


と、そんな感じで、七海が幸せになってくれて本当によかったです。ラストエピソードをここまで大仰にしなくても、という気もしますが、行くところまで行った二人の絆の強さを再確認するには、これくらいの大事件が必要だった・・・ということでもあるわけで。人間の力では断ち切ることができなかった二人の絆に最後の試練を与えられるとすれば、それはまさに奇跡でしかないのです。奇跡によって試練を与えられ、七海の気持ちが通じたとき試練は無事終わる。そんなエロゲーファンタジーがあってもいいんじゃない?

追記

後藤邑子の口パクが所々ずれてたりしたことからも、今回の作画状況のヤバさが伝わってくるわけですが、そんな中で奇跡のような作画を見せてくれた、七海の泣き顔。トライネットの低予算ギャルアニメ量産体制はあまり好きではないんだけど、少ない予算をどこに割り振るか、というリソース配分は外さないのはすごいと思います。

あと、
http://d.hatena.ne.jp/kkobayashi/20051030/p1
の日記で

このまま七海メインで話を進められたら俺は現実世界に帰ってこれなくなるだろうなあ。

と書いたけど、案の定言ったとおりになってしまった・・・。あーあ。

追記2

各地の感想読んでみたけど、意外な好評ぶりに正直びっくりです。このアニメは、エロゲーが大好きで後藤邑子が大好きな、俺のような選ばれし民(笑)のみが楽しめるアニメだと思っていたので・・・

「退屈」「眠い」「サブキャラが生きてない」「ラストが唐突過ぎ」「ご都合主義」「作画が終わってる」などなど・・・いわゆる「アニメ作品」として評価してみると穴だらけの隙だらけだと思うんですよね。そこを付けば言い逃れのできない駄アニメの烙印を押すことすら可能なのに。

それでも意外なほど批判的な感想が少なかったのは、やっぱり七海というキャラクターの魅力、後藤邑子さんの声の魅力、そして一貫して健次と七海を書こうとしたシリーズ構成の力なのかな。「2人を応援したくなった」なんてコメントを見ると、嬉しくて涙出そうになりますよ。

アニメファンにもエロゲーカタルシスは十分受け入れられる、ということは分かったんだけど、逆にエロゲーファンから見たらこのアニメはどうなんだろう。俺は原作やったことないし、後藤邑子しか見えてなかったので七海シナリオだけで満足だったけど、悪の予言者みたいな扱いをされた佐倉さんにだって当然固定ファンがいるわけで。ほとんど出番のなかった美空とか、原作ファンはどう思って見てたのかな・・・。

なんてね。

*1:ご存知なのも微妙な気分ですが・・・

*2:それはそれで楽しいものですが

*3:少女漫画や涼風なんかは客観的に見てしまうから、あまり自分が恋愛しているという感覚はないような気がします