夏色キセキ 総感

スフィアの4人が全員主演のアニメとはスゴイ!という期待感の一方で、初回に感じた妙なギスギス感や、魔法で空を飛ぶという話のファンタジーっぷりには若干面食らいました。3〜4年前ならいざ知らず、今では全員がピンでヒロイン張れるのに、4人で1つみたいなキャラ作りはもったいないなーという気持ちもありましたし。

ただ見ていくうちに、意外に思えたファンタジー設定も往年のぴえろ魔法少女モノを思わせる雰囲気で下田の田舎町にも合ってたし、4人の掛け合いも段々息が合ってきたのか段々楽しくなってきました。まあ、4人でドラマ演るのはPl@net Sphereでずっとあったので、それについては余り心配はしていなかったのだけど。

楽しみ方が分かってきてからは素直に話に入り込めて、気付いたらすっかり大好きな作品になってしまいましたね。話の楽しさもそうですが、紗季の転校を軸とした4人のお互いへの思い、アイドルになるということの意味、その他色々を通して4人の思いが掘り下げられていくのがよかったです。

全体的な感想はこんなところですが、この作品における「キセキ」について少し。御石様に不思議な力を授かるところから始まり、力を返すところで終わる話。定型的な解釈をするならば、この力とは少女性であり、少女に特有の神秘性を失うことで大人になっていく・・・という話と考えることができます。

御石様の力は常識では計り知れない現象を起こすことができるけど、結局のところは「空を飛びたい」「透明人間になりたい」「夏休みが終わらなければいい」と言った子供の空想じみた夢を実現させるだけ。本当に叶えたいリアルな願いに対してはあまりにも無力で、紗季の転校を止めることは最後までできなかった。だからこそ、最後の「いつまでもずっと4人が友達でいられますように」という願いは彼女たちのリアルとして発せられたのです。妙に思わせぶりなリンちゃんの母親も、御石様に頼ることなく自分の力で未来を作っていくよう示唆していたと考えれば辻褄が合うし。

・・・っと自分で書いてきてちょっと辛くなってきた。まあ辻褄は合ってしまうので、おそらく作品のテーマとしてはそういうことなんだと思うのですが、何でもかんでも成長やら大人になるためのイニシエーションやらに結びつけてしまうのはあまり好きじゃないんだよね。

いやだって、大人になんて放っといたってなれるじゃないですか。今回の話で言えば、別に御石様なんて無くたって未来は変わらないし。じゃーなんでワザワザ御石様なんか出てきたのか?って言えば、特別な友だちと過ごす特別な夏休みを、特別大切な思い出にするためでしょ。11話で紗季が言ってたように。アイドルになりたいという話も、優香が言うには4人が一緒にいられるからだってことになってるけど、それだって4人が特別であることの象徴なわけですよ。

なので自分としては、御石様に力を返すことで特別な夏休みが特別大切な思い出になったんだ、というところまでで止めておきたい。その後に成長したり大人になったりしたのか、というのはまた別の話であって。

あまりまとまりのないまま終わる。