まりあ†ほりっく 総感

流行の女装モノ+シャフトということで、視聴前は若干構えてしまった部分もあったのですが、予想以上にオーソドックスな感じ。「ぱにぽに」みたいな、ぬるい原作を演出で面白くしよう!と言うより、元々面白い原作を生かす方向でアニメを作っていたように思えます。この手の演出にも慣れてきたのもあるかもしれませんが・・・。本編で抑えていた作家性はOPとEDに詰め込まれていたみたいで、この辺りのバランスもよかったです。

そして本編。女装子の鞠也をはじめとして、色々な個性豊かなキャラクターが出てくるのは楽しいですね。普通に考えると、美少女に見えて実は男で、腹黒くて・・・な鞠也が周りを巻き込んでドタバタするお話になるところなのですが、主人公(?)のかなこのキャラクターも鞠也に全然負けてないのがすごい。狡猾で、人を操ることが上手い鞠也と唯一対等に渡り合えるのが、萌えパワーで万事OKなかなこ。バカバカしいように見える構図だけど、ちゃんとこの二人が主人公となる必然性になっているし、実際にもお互いが話を引っ張る力を持ってる。この二人の対称性というのが、単なる女装モノという以上にこの作品の大きな魅力になっているのでしょう。

かなこのキャラが立ってくると、気になるのが鞠也の背景なのですが・・・。7話9話にその片鱗を覗かせるのみで、なかなか内面を見せてくれないんですよね。サブキャラに対してはお当番界を用意してしっかり掘り下げてくれるのに、肝心の鞠也の内面については曖昧にお茶を濁される。鞠也の言動をかき集めて考えると、輪郭のようなモノは見えてくるんだけど・・・。ただ、鞠也のシリアスをやってしまうとギャグでは無くなってしまうから、1クールという短い時間の制約を考えれば妥当なバランスだと思います。

ギャグにしか見えない設定で、ギャグできっちり笑わせてもらったのに、なぜかキャラクターの内面をもっと知りたくなる。なんとも不思議な作品でした。