セキレイ 総感

「108羽のセキレイ」っていう時点で1クールじゃ無理だよな。うん。分かってた。

あれだけキャラクターが多ければ仕方ない部分はあるのだけれど、キャラクターの紹介をして、設定の紹介をして、軸となるお話を作って・・・というのを12話という短い話数に収めるとなると、どうしてもダイジェスト的になってしまう。左から右へ作品の説明を受けるだけで精一杯という感じ。お話に多少無理があってもキャラクターが魅力的なら何とかなってしまうものなんだけど、肝心のキャラクターについてもキャラ表の説明に留まり、「なぜか分からないけど皆人が大好き」という初期設定の段階で終わってしまったように思えます。

ただ、「セキレイ」「葦牙」という設定や、古事記等から引用した世界観、「草野」「松」といったヘンな名前も含めて、物語世界そのものは魅力的ではあったんだよね。キャラクター配置も、同じ「セキレイ」や「葦牙」としての役割を与えられながら、鶺鴒計画にどう関わるかという個人としてのスタンスの違いが明確に異なっていたのも面白い。これらのスタンスの違いが、魅力的な世界設定を多角的に描写していくはずだったのに。特に鷸&久能の「鶺鴒計画からドロップアウトする」という、物語そのものを否定する存在は、主人公たちのアイデンティティを激しく揺さぶって作品に深みを与えてくれるはずだったのに・・・。

素材はとても魅力的。ただ、本来は1週間くらいじっくり煮込まなければいけない食材を、10分で出せって言われてしまったので、「エロ」という化学調味料でごまかしながら、「落ちモノギャルアニメ」という安易な即席調理法で出してしまったという印象ですね。もったいない・・・。