Gift 〜eternal rainbow〜 第07話「幸せの意味」

「魔女っ子」って言い方もずいぶん古式ゆかしいですな。

それはそうと、今回は千紗のお当番回。「幸せって、かんたんにもらえちゃうんだよ」という"偽Gift"の存在を通して、Giftとはなにか、「ほんとうのさいわい」とはなにかを掘り下げていくという、おそらく物語の根幹となるテーマを描いたエピソードだったんじゃないでしょうか。

本物のGiftと偽Gift*1の違いは、そこに人の想いが介在するかどうか。一方的に、「かんたんに」与えられる偽Giftでは全ての人を幸せにすることはできない。自分の考える幸せのためにGiftそのものを否定しようとする春彦の姿を見て、偽Giftで本当に幸せにはなれないということに気づいた千紗なのでした。

Giftを否定しようとする春彦。過去にとらわれずに生きるゆかりん*2と出会い、自分が過去にとらわれて未来が見えなくなっていることを知り、莉子のためにGiftの消滅を望む。それは莉子に母親の面影を重ねていた訳ではなく、莉子自身を好きになったという春彦の強い思いの表れでもあったのです。

ところで公式のあらすじには

「春彦くんと仲良くしたい」――漠然とした霧乃の願いを受けて、魔法が過剰に反応した結果だった。

とありますが、実際のところ偽Giftの効果は「莉子を恋愛不可能な存在に変化させる」という意図で「恋愛感情ではなく母親の面影を重ねていただけ」という結論に導くのか、「昔のように仲良くしたい」という意図で「春彦の認識を昔に戻す」という結果だったのか。その辺は気になるところです。

そして今回もう一つ気になったのが、「物語の中心=世界の中心」の構図を崩してきたということ。D.C.はもちろん、KanonFateなど、世界観を売りにするエロゲーって普通は「物語の中心=世界の中心」なんですよ。シナリオごとのヒロインが世界の鍵を握るっていう。このアニメでは、物語の中心が霧乃と莉子の三角関係であるなら、世界の中心は千紗ということになると思うのです。こういう構成をとることで、霧乃と莉子をイーブンな立場に置くと同時にメタな解決*3を拒んでいるんですよね。これはちょっと面白い。

そんな感じで今回は、Gift世界の本質とメインテーマに迫る重要なエピソードだったと思うんだよなあ・・・。それを1話でやっちゃうというのはちょっと急ぎすぎのような。せっかく面白い話だったのに、脳内補完が大変だったよ。まあ、その分メインである(?)霧乃と莉子の三角関係に時間を割きたいってことなんだろうけど。

*1:本物のGiftによって与えられた力を「偽」と称するのは非常に皮肉ではあります

*2:ゆかりん・・・って。

*3:妹のどちらかを選ばないと世界が滅ぶ、みたいなWウィッシュ展開とか