フラクタル 総感

うーん。鳴り物入りで始まったはいいけど、イマイチ振るわなかった感じかな。あの壮大な初回のイメージを1クールでキッチリまとめることは・・・予想通りとはいえ、やはりムリだったようで。

何というか、「1クールにまとめ切れない」って感想以前の問題だと思うんですよね。原作つきならまだしも、オリジナルでそれはちょっと・・・。フリュネの不思議なキャラクター、文明が進みすぎてレトロ化した世界観、素材はよかったんだけどなあ。

というわけで、個人的にはこの作品をもって山本寛をどうのこうの言うのは違うかな、と思います。まあ、「作品の体を成していない」という意味では「その域に達していない」と言えるのかもしれませんけどね。


さて。好意的な感想をほとんど見かけない本作品ですが、個人的には結構好きだったりします。

フリュネの独特なキャラクターと、それを演じる津田美波の新鮮な演技。アイム系*1の新人が多い昨今のアニメにおいては異彩すら感じさせます。青二塾からの叩き上げって意外と少ないし、今後の活躍が楽しみ。

あと、ネッサの「ネッサは好きが好きよ」という台詞。何てことないレトリックなんだけど、自分の「好き」を見失いそうになっていた時期だったこともあってか、この台詞はすごく印象に残っています。

エピソード単体では7話がすごく好き。シリーズ全体としては浮いてる話なんですけど、フラクタルシステムの恩恵を享受している側の視点って実は珍しいよね。クレインは骨董マニアだし、ロストミレニアムは言うまでもなく、なので。

フラクタルシステムのSF的な楽しさ、ドッペルと実体とのギャップ、そして町に留まるためには膨大な金がいる残酷な現実。言ってみれば、本作品の光と闇を象徴しているエピソードだったんじゃないかな?

こういう世界観の掘り下げが本編の大きな流れに全く生かされず、浮世離れしたラスボスとアンダーグラウンドなテロリストしか出てこない話にしちゃうのは・・・やっぱり「もったいない」としか言いようがありません。

*1:日ナレ系?