ハルヒがキョンを閉鎖空間に連れてったのは何で?

激しく今さら感のある「涼宮ハルヒ」ですが、全話見返した記念に軽い考察などしてみました。

ハルヒキョン、世界を創る存在と世界を選ぶ存在

ハルヒキョンを閉鎖空間に連れてったのはなぜか。それは古泉の言うとおり「新世界のアダムとイブ」であり、オフィシャル的にもそういう解釈なんだと思う。でも、個人的にそれには異を唱えたいと思ってます。

古泉によると、キョンは「ハルヒに選ばれた」存在ということになりますが、ではなぜキョンが選ばれたのか。答えは簡単「キョンハルヒにとって特別だから」。じゃあキョンは何のために連れてこられたのか。ほんとに新世界のアダムとイブになるためなのか?

今までの話を見るかぎりでは、キョンハルヒにとって特別な存在ということは分かる。でも、だからといって二人だけのセカイを作るためだけにキョンを連れて行ったりするでしょうか。それって相当強い、狂気に近い恋愛感情のみがなせる技だと思うのですが・・・。

ずっと思っていたんだけど、この物語を恋愛ドラマとして捉えたとき、話を引っぱる軸としての恋愛要素はあまりにも薄い。ハルヒは本当に一人の男性としてキョンのことが好きなのか?彼女の気持ちは恋愛感情にまで達しているのか?そう問われたとき、明確に恋愛感情を示すだけの根拠を俺は示すことができません。

もちろん「誰かを連れて行くならキョンしかいない」ということは分かるし、「二人だけのセカイを作りたい」という気持ちもあったと思う。ただ、それだけじゃなくて、同時にハルヒは「キョンだったら元の世界に一緒に帰ってくれるんじゃないか」とも思っていたのではないでしょうか。

それが顕著に表れたのが12話のシーン。ENOZのメンバーにお礼を言われるときに、ハルヒキョンを一緒に連れてった。それは、一人で外の世界に出ることが怖かったから。「涼宮ハルヒ」シリーズが「ハルヒが社会性を獲得する物語」だとしたら、キョンハルヒと世界を繋ぐ「鍵」としての存在。

つまり、ハルヒは新世界を作りながら、その選択をキョンに委ねたのではないか、と思うのです。「一緒に残る」か「一緒に帰る」か。ここで大事なのは「一緒に」ということ。キョンが望むなら元の世界に帰ってもいい。キョンと一緒なら元の世界でも頑張って生きていけるのではないか。・・・でも、そう望むのなら「一緒にいる」という約束が欲しい。キョンのキスは、元の世界でも二人が一緒にいるという誓いの契約。

・・・とまあ、そんなかんじ。キスの意味についてはいろんな解釈があるかと思うけど、いずれにしてもハルヒは元の世界に帰るか閉鎖空間に残るかの、最後の選択の余地をキョンに託したかったんじゃないかな。恋愛感情メインで話を引っぱるとすると、ちょっと解釈しきれないんだよね・・・。